男の子育て(2) 専業主夫の巻
父親の保育所参加
前回、お父さんが単独で乳児を連れて歩くことへの世間の反応を振り返ってみました。
今回は、その続きとして、保育所への「参加」について経験を振り返っておきましょう。
「参加」とは何かは定義が難しいことです。「社会的自立とは、社会諸集団への参加を、その年齢に通常求められる程度達成すること」あるいは「からだの状態を考慮しながら、必要な支援を得ながら社会諸集団への参加を達成すること」と、私たちの作成した成人した小児慢性疾患患者の社会的自立のサポートのためのガイドラインに書きましたが、「参加」の様態には幅があるため、慎重に考えなければなりません。お父さんの保育所参加も幅があってよいわけですので、下記は一事例に過ぎないことをお断りしておきます。
これを読まれているお父さんであるあなたは、お子さんが保育所に通っているとき、保育所に対して、どれくらいの関与をしておられますでしょうか。
レベル1.送り迎えは妻(あるいは他の家族)に任せている
レベル2.妻(あるいは通常送り迎えしている家族)が忙しい、病気など送り迎えできないときは送り迎えをしている
レベル3,妻(あるいは通常送り迎えしている家族)と同等あるいはそれ以上に送り迎えをしている
上記は、送り迎えの頻度を問うています。
他にも、連絡帳をどの程度読み、また書き込んでいるかといった保育士とのコミュニケーションの量や質はどうか、わが子の同級生の名前と顔がどれくらい一致するかや同級生たちとどれくらい遊んだことがあるかなど、同級生との交流の質と量はどうか、さらに同級生の保護者とのコミュニケーションの量や質はどうかなど、いろいろな観点から評価することができます。
私の場合は、子どもが小さいとき、職場が遠く、片道1時間40分はかかっていましたので、送り迎えは基本的に2.のレベルでした。もちろん共働きでしたから、妻が忙しければ、おふとん(月曜と土曜だけ)とおむつなどのグッズを抱え、子どもと一緒に保育所に通っていました。まだまだ、父親が育児でお休みを取るのが難しい時代でもありましたので、妻の負担がずいぶん大きかったと思います。<もっと早く気付よ!と、妻の声が聞こえてきます (^-^; >
そのような私も1年間だけですが、前の職場を離れ次の職場に就くまでの間、京都大学の研究生になって、いくつかの大学非常勤のアルバイトをしながら、研究と育児に専念したときがありました。妻は常勤職ですので、保育所の送り迎えレベル3.になり、保護者会会長をひきうけていたのでレベル4.、さらに基準が異なるのですが、炊事洗濯など家事育児は基本的に私の仕事ということでレベル5.くらいにランクしておきましょう。
いずれにしても、レベル2.とレベル3.を上回る状態の二つを、子どもの年齢は変っていましたが同じ保育所で経験できたわけです。これは、私にとって、それなりに大きなインパクトとなりました。
詳細をお話しする余裕はありませんが、基本的に下記のような違いが見えてきました。
①レベル3.以上になってから、同級生を含む父親たちの送り迎えの姿が増えた
②同様に、息子たちの同級生との遊びが増えた: 帰り際に残っている子ども達が遊ぼうと声をかけてきたり、保護者会の集まりの前後に遊ぶことが増えたため
③さらに、他の保護者の方達との交流が増え、日曜日に子どもを連れて交流する機会も増えた
①の違いはとくに印象に残っています。お父さんの保育所「出現」頻度は、いつも送り迎えするお父さんがいることで確実に増えていきました。どのくらい増えたか、ちゃんと調べておけばよかったですね(残念)。(このときも、駐車場で赤ん坊を車から降ろし、保育所に向かう私に対する周囲の視線はさまざまでしたが、それは前回のテーマに該当するので、触れないことにしましょう)
保護者会でもお父さんの勢いが増して、夏祭りでは<父親たち特製のおばけやしき>が、ほんとうに怖い!と評判になったり、生活発表会でミュージカルをしたり(こちらは父母たちの合作)、楽しい時を、みなさんと共に過ごすことができました。もちろんこれらは父親だけでできたわけではないのですが、父親たちが本気になるとすごいなと感心したことを覚えています。
②は、男性の大人に対して子ども達が求めているものを実感できる機会でした。こちらは、休日に公園でわが子と遊んでいるときにも生じる関わりですから、保育所に限らないことです。また、男女の区別をしない子育てはもちろん必要でもありますが、生理的な違いから、子ども達が求めることが違ってくるのはあるわけですから、うまくそれをとり込みながら、楽しめる関係を子ども達と築いていきたいものです。これはいつか書こうと思うテーマですが、NHKでやっていたパパサウルスみないたことではあります。
③は、卒園後も親同士の交流として続いていきました。祭りで使う小物を安く仕入れるのに長けている方、人形劇をプロでやっている方、京人形の制作者の方・・・、京都、大阪で働く多彩な方達と分け隔てなくおつきあいさせていただけたことを、懐かしく思い出します。遠くに引っ越してずいぶんたちますので、さすがに年賀状くらいになっていますが。
子ども達の生活を支え、楽しませようという親の集まりに父親たちも母親たちと共に積極的に参加していくことで、いろいろな可能性が芽生えてくると考えます。その方が、より多様な個性や才能が集まるからです。
同様の経験は、若い頃、短い期間ですが勤めていたことがある学童保育で、指導員として働いているときにも実感したことです。父母共に学童保育を支えてくださっていたので、ダイナミックな取り組みをたくさん体験できました。
保育や教育に対する親の関わり方については、ここ10年ほどで変化していることが多いようです。今回は、そこに視点を向けるものではありませんが、子育ての原点は、<わが子を大切にするなら、わが子の友達と親たちとの関わり方も大切にしよう、子ども達に愛情を注いでくれている保育士さんたちをバックアップしよう>とする意識と行動と思います。
ここは、男の子育てということで話をしてきておりますので、その視点からのとりあえずの結論。
<父親の保育所参加を進めるには、まずは、一人の父親から>あるいは<自分から>
最近はこうした動き方のできるお父さんも増えているように思います。嬉しい限りです。
なお、この経験をした1年間は、とある医大に院内学級を作りたいという保護者の皆さんのバックアップをしたときでもあります。がんの子ども達の心理支援に加えて、教育や保育について研究を進めるきっかけの一つであり、研究活動の原点の一つでもあります。その意味で、たいへん充実した時を送ることができました。
自立した生活を送り始めた若い人達には、これからも、出会った人達を大切にしながら、充実した日々をお過ごし頂きたいと願うものです。お父さんになったら、子ども達がいろいろな出会いをプレゼントしてくれます。そのプレゼントを大切にできると良いですね。
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